音楽(歌謡曲)には主に以下の三つの要素があると思いますが
- メロディ
- 歌詞
- アレンジ
で、私が音楽を聴く時に重視する比重としては
- メロディ:30%
- 歌詞 :0%
- アレンジ: 70%
くらいです。
基本的に音楽はアレンジを楽しむものだと思っていて、メロディはアレンジを楽しむための縦糸。アレンジがお酒ならメロディはおつまみというか引き立て役であって、ないと寂しいけど、その程度。あくまでもメインはアレンジ。
歌詞に関しては語感が気になることはまれにありますが、基本的に文脈やストーリーはまったく意識していません。
なので、好きなアーティストの話をする時に「歌詞がめっちゃ良いんだよね〜」みたいなことを言われるとちょっと困ります。
好きなアーティスト的な意味で好きなアレンジャーがいます。
島田昌典(aiko、他多数)
もはや大御所ですね。その中でも代表作はやっぱりaikoだと思います。aikoといえばこのピアノとロックギターのアンサンブル。ロックすぎずポップすぎないバランス感覚が非常にユニークな職人技だと思います。
玉屋2060%(でんぱ組.inc)
ハードコアバンドWiennersのリーダーの玉屋2060%。毒々しいヴィヴィッドカラーのポップスとライブハウス由来のグルーヴが融合したまさに今の時代の大衆音楽。早めに食傷するかと思いきや意外と中毒性高いです。
Tom-H@ck
でんぱ組ではこの人も大好きです。情報量の限界に挑戦しているかのようなアレンジ。2コーラス目の1:22あたりのライトハンド奏法なんかは完全にスキマを埋めにかかってますね。でも全体はしっかり整理されてごちゃごちゃしながらも音の洪水に身を任せるのが気持ちいいです。
ハヤシベトモノリ(Plus-tech Squeeze Box)
昨今のボカロPやアイドル界隈の直属のルーツはたぶんこの人。これが2004年に作られているという衝撃。自分で作詞作曲編曲とマニピュレーションまで行う、それまでの宅録の常識と限界を突破した人。HCFDMの文脈に属するとは思うんですが、ピチカートの小西康陽氏もマニュピレータは別にいましたからね。他に自前でマニピュレートまでするのはQypthoneの中塚武氏や、最近だと中田ヤスタカ氏とかがいますが、一番エッジでクレイジーなポップスを追求してるのはハヤシベ氏だと思います。才能は人一倍あるのにやりたいことと求められてることに大きな乖離があるため名を馳せにくい人。
OSTER project(初音ミク)
この人なんかは完全にハヤシベチルドレンですね。その中でも特に初期のPlus-tech Squeeze Boxっぽい曲がこれ。最近はaikoのアレンジも手がけてて世代交代の波を感じます。
高橋諭一(松浦亜弥)
ちょっと古いですが、一時代を築いた人ですね。ハロプロはつんくプロデュースとして有名ですが、高橋氏のアレンジが先にあってそれに合わせてメロディを当てていたという話もあります。ハロプロ帝国の影の立役者といっても過言ではないでしょう。
この時期のハロプロは、サビに必ずと言っていいほど2拍3連を入れているんですよね。フックとなって覚えやすく、カラオケで盛り上がりやすいってことを想定していたと思います。
基本的にコンプ強めで音圧高め、音数多め、BPM早めなのが好きです。
ちょっと毛色が違うところだと
堀込高樹(南波志帆)
キリンジのお兄ちゃんです。キリンジといえば和製スティーリー・ダンこと冨田恵一でしたが、途中からセルフプロデュースになっており、この曲はお兄ちゃんが編曲まで手がけてますね。このイントロ本当に大好きです。
他、最近だと
平地孝次(PassCode)
が最強に仕事が細かいですね。
いわゆるピコリーモなんですが、スピード感とラウドロックの重厚感、シンセとオートチューンのカットアップによるデジタライズ、あとマスタリングが今時っぽくて非常に気持ちいいです。展開もかなり多くてメタルバンドっぽいスルメ感があります。00年台のバンドマンの感覚で受け取るとシンセサウンドがダサく感じてしまうと思うんですが、その辺を意に介さないアプローチも新世代っぽいですね。
いろいろ挙げてて思ったんですが、 最近面白いと思うアレンジは大体アイドルですね。やっぱりお金と人が集まるところに才能も集まるってことかなと。VIVA巨大産業。
あとはメンバーが固定のバンドだとどうしてもアレンジにフレームができちゃうんですよね。メンバーにサックスがいたらトランペットのソロ入れにくいとか、ドラム・ベースがいるとEDMみたいなのは出来ない、みたいな。
で、そんな編曲偏重主義者なので、音楽番組を見ていて作曲と作詞のクレジットがあるのに、編曲のクレジットがないとがっかりしてしまいます。
あとついでに
例えばラスサビのメロディを2回繰り返すみたいな時に、2回目にリハーモナイズをかましてくるアレンジが大好きです。メロディも調も変わらないのに今までと違うコード進行をぶつけてくるやつです。
こちらは乃木坂46の曲ですが、これの2:43からのサビの繰り返しでリハーモナイズしてますね。めちゃいい。
こちら古川貴浩さん編曲です。
ちなみに、楽器をやってない人が音楽を聴くときには
メロディーとスネアだけしか聴いていないっていう話を聞いたことがあります。
ホントかどうかわかりませんけどね。
自分が中学校の時とかどうだったのかなー