ダイバーシティインデックス

ダイバーシティインデックスは「多様性の指数」

ダイバーシティは一般的には多様性と訳されます。一つの集団があった時に、個々の要素間にどの程度バリエーションがあるか、どの程度「いろんな人がいるか」っていう考え方です。ダイバーシティインデックスとは、その「どの程度」っていうのを数値化したもので、それが高ければその集団の多様性が高く、低ければ多様性が低いというものです。そして、進化論によれば集団は変化に強いほうが生き残りやすいため、多様性が高い=ダイバーシティインデックスが高いほうが有利なのです。

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突然変異の役割

人間に限らず、遺伝子の突然変異っていうのは自律的にダイバーシティインデックスを高める作用と見られています。どういうことかというと、常に遺伝子が正確に引き継がれていてばかりではイノベーションが起こらず、多様性が十分に高まらないことによって例えば何らかのウィルスによって人類が全滅する可能性があるのですが、時折突然変異によって今までの流れと違う枝を伸ばす(フォークする)ことによって今までにない遺伝子、いわば新人類を作り、多様性を確保しているのです。

ただそれが毎回いい方に進めばいいんですが、そんなことは極めて稀です。突然変異は完全にランダムなので、どう転がるかはわかりません。そもそもその変異が良い方向かどうかはその時の状況によっても変わってきます。本当に適当に色んな所に種を撒いておいて、なんかあった時にあわよくばそっちで生き残ってくれるのがあるといいなあ〜っていう戦略です。

グローバル化

一方、科学技術の進歩によって地球はどんどん狭くなり、ヒト・モノ・カネの交流がどんどん激しくなっていきます。それにともなって恋愛も国境を超え、異民族同士の子供が増えていくことになります。人間は本能的にダイバーシティインデックスを高めようとするため、自分にない特徴を持った人に惹かれがちです。思春期の子供が親と距離を置きたがることや、ハーフタレントの人気が高いのも同様の理由です。

ダイバーシティインデックスは増加してからいずれ低下する

そうやってヒトのグローバル化が進むと、ダイバーシティインデックスは増加します。様々な人種同士の交配が起こり、バリエーションが指数関数的に増えていきます。ただ、ある時期を境に減少に転じます。なぜかというと地球は有限で、地球上に住める人間の数には限りがあるからです。

国境を超えた恋愛を目まぐるしいスピードで行った結果、世界中の人種の偏りがなくなり、言ってみれば人種のエントロピーが極限まで増大することで、「アジア人」「欧米人」「黒人」「日本人とフィンランド人のハーフ」などではなく、どこに行っても同じような「地球人」しか見られなくなります。地球上の人種のダイバーシティインデックスがほぼゼロになるわけです。

"良い"突然変異とグローバル化のスピード勝負

そうすると前述した懸念が出てきます。ダイバーシティインデックスが低下したことで全員が遺伝子に同じ弱点を抱えている可能性があるわけです。ピンポイントでそこを攻撃する新種のウィルスが現れて、地球上の人間を一網打尽にすることも考えられるわけです。

その前に人間の遺伝子が突然変異によって新たな多様性を作っていればいいわけですが、突然変異は自分たちでコントロールできません。将来、技術的に可能になったとしても政治的に難しいでしょう。完全に賭けになります。

グローバル化によるダイバーシティインデックスの低下に比べて、より速く「有効な」突然変異が起きてくれなければ、人類は絶滅という大きなリスクを抱えることになります。

もう一つの競争相手

実はもう一つ競争相手がいます。シンギュラリティです。技術的特異点と呼ばれ、コンピュータが人類の知恵を超えることによる技術的なブレイクスルーです。あらゆる問題が、人間には思いもつかない、または人間には不可能なやりかたによって解決されるようになります。これにより、突然変異よりも速く有効なダイバーシティインデックスを増加させる方法が見つかるのかもしれません。

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