おもてなしとイノベーションのトレードオフ

それは「おもてなし」か「あまやかし」か

日本の企業はサービスの質が高いかわりにアジリティが低いんですよね。それぞれの顧客へのきめ細やかなおもてなしを重視するあまりに、フットワークが重い。未だにFAXがこれほど使われているのはそういうところが理由だと思います。

顧客に何らかの通知を適時行う必要があった場合、パソコンを持っていない顧客にEメールを使わせるようにする場合は

  • パソコンを買わせて
  • プロバイダ契約させて
  • メールクライアントの設定してあげて
  • こまめにチェックするように教育して
  • ケータイを持っていればそっちにも転送するように設定してあげて

っていうのが必要になります。

FAXなら

  • FAX機を買わせる

で終わりです。

そしたら「あーパソコンないんですね。電話回線はありますよね?じゃあ何か通知があればFAXでお知らせしますね」となります。こっちのほうが楽なので顧客も喜びます。

 

これは単にFAXの導入コストが圧倒的に安いだけって話にもなるんですが、ランニングコストも含めて合理的に考えればそういう顧客はコスト的に見合わないとして切り捨てる判断もありなはずです。しかしそこでおもてなし精神を発揮してしまう。

パッケージをカスタマイズしすぎ問題

業務システムのパッケージなんかも、基本的には導入にあたって「いま顧客の組織で運用している現行のフローが100%できること」を最低限の要望に設定しがちです。ちょっと風変わりなフローがあったとしても、パッケージをカスタマイズして顧客のニーズに合わせてしまいます。

 

本来、業務システムのパッケージはその業務に必要な機能はすべて盛り込まれているはずです。ある機能がパッケージに入っていないということは、ほとんどの組織はその機能がなくても回っているということ。であれば、なくても大丈夫なはずなんですが、顧客の担当もそこのフローを変える権限が無かったりするので、お互いに「なんでここ縦書きで出す必要があるんや・・・」とか思っても「いまそうなってるので。」で終了してしまうんですね。

 

そしてコア部分に何かバグがあったとか、法律の改正によって何かしらの対応が必要になった場合に、それぞれカスタマイズしたパッケージごとに個別に調査・修正が必要になってしまいます。結果、エンジニア部門はバグの修正と仕様変更と、また別のクライアント用のカスタマイズで手一杯になり、ボトムアップのチューニングや新規機能追加などは夢のまた夢。日本の企業からイノベーションが起こらないのもうなずけます。

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どうせ結末は同じ

こうやって日本の企業は体脂肪率を上昇させ、フットワークを重くしているわけです。何も顧客を蔑ろにしろとは言いませんが、グローバル化のスピードについていくには、もう少し合理性を高めないと海外の競合に負けてしまいます。そして負けた結果、いままでの顧客は合理的な競合に持っていかれ、そして顧客もFAXではなくメールを使わされるようになるんです。どうせそうなるなら、自分たちがやっても同じじゃないですか?