共産主義的な企業体質

資本主義国家においても、個々の会社はかなり共産主義的だなあと感じます。

端的にいうと、(同等の役職にある)社員の能力に10倍の差があっても給料が10倍になることはあまりないっていう事です。2倍の差がつくことも珍しいんじゃないでしょうか。

 

昇進による昇給は基本的に別の能力が求められることになるので、たとえば「極めて生産性が高く、普通の人が3ヶ月かかるところを1週間で仕上げてくるようなエンジニア」であっても、人をまとめる力が乏しいと結局昇進は期待できません。そういう人を無理やり昇進させると、他のマネージャと同等の給与をもらいながら「人をまとめられないのに高給なマネージャ」という状態になり、一つ上のレイヤーでまた同じ状態が再現されることになります。

ちなみにこれはピーターの法則と呼ばれる既知の問題です。

とにかく「組織をまとめる」以外の能力は、資本主義的な「報酬=能力のバロメータ」になりにくくなります。

 

営業の場合は定量的な評価っていうのが比較的やりやすいので、例外的にフルコミッションのセールスなんかだとガッツリ差が現れることもあるんですが、その他のエンジニアやデザイナーあたりだと能力が数字で図りにくいので給料に差がつきにくいんですよね。

 

「あいつの作るプロダクトはコードがスッキリしてて読みやすい」「問題があってもあいつに聞けば大体解決する」っていう人でも、能力の差は誰の目から見ても明らかなのに昇給させるとなると数字の根拠が必要になるので、上層部を説得できないから給料があがりにくい。

反面、「いつも期限に間に合わない」「バグが多い」ようなエンジニアでも大体同じくらいの水準の給料をもらっています。

どちらのエンジニアも、同様の能力を求められている限りはパフォーマンスに関わらず同等の水準の給料をもらい続けることになり、「有能な誰かが稼いだお金で他の社員が雇われている」という共産主義的な状態になります。

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あくまでも個々の会社の内部での状態なので、日本でも雇用の流動性が高まればそういった「有能な人」はもっと高給な会社で同じ役割をするようになりますね。

グローバル化が進むことでそのあたりも是正されていけばいいと思っています。